ポール・ダンジャン訪問

シャンパーニュ地方南部のコート・ド・バールにあるポール・ダンジャンは、セル・シュール・ウルス村にあります。
ローヌ地方から車で5時間以上かけて、夕方にコート・ド・バールのトロワに到着。
生憎の雨でしたが、ジャン・バティストが初日の夜はトロワの町を案内してくれました。


「オーガナイズは自分にまかせてくれ!」と言われた通り、ジャン・バティストに全て任せることに。
二日目は朝からワイナリー見学から始まり、その後村のお祭りに参加してきました。


ワイナリーの敷地内には醸造所ほか、新しく建てられたボトリングと出荷用の工場や住居などがあります。
昔はダンジャン一家の全員が敷地内に住んでいたため、建物が複数あるようです。 オフィスにはダンジャン一家の70年代後半の写真がかざあってあります。


今も家族経営のダンジャンは、場所ごとに担当が決まっています。
例えばこちらの旧式のプレス機の担当はジャン・バティストです。


収穫期になると、一度に4000kgのブドウの圧搾が4、5人がかりで行われます。
少し圧搾をしたら一度止め、下の方のブドウを上に持ってくるように混ぜることで、均等に圧搾します。
熊手でかき混ぜられますが、この作業は1分30秒くらいで完了させなければならないそうです。
絞られたブドウのジュースは重力で下のタンク室に流れこみます。
この機械は一回の圧搾ごとに洗浄され、常に綺麗な状態を保つようにされています。
木製の容器にはそれぞれに番号が振ってあり、それを合わせないと綺麗な円形にならないようになっているそうです。
圧搾機は近代的なタイプの物も2基設備されており、こちらは二人がかりで8000kgを絞る事が出来ます。


最初のタンク室には年代物のコンクリートとステンレスタンクがあります。
ステンレスタンクが多く使用される昨今ですが、コンクリートはステンレスと違い電気を通さないため、見直されているそうです。
このワイナリーは少しずつ増築されてきたので、ここよりも奥には近代的な大きなステンレスタンクが設置されています。

シャンパンを作る時はルミアージュと言う作業が行われます。ボトルを少しずつ回しながら、瓶は垂直になるような角度で立てられていきます。こうすることで澱引きがしやすいよう、少しずつ澱が瓶口に集められて行きいます。
ポール・ダンジャンでは今は大きいボトル以外はその作業は機械化されています。大きいパレットにまとめて入れられて、少しずつ動かされていきます。
ジャン・バティストが小さいころは、学校に行く前に時間をかけて手で回していたそうです。


熟成する樽はブルゴーニュ製の樽で、中はゆっくりあぶられています。
色んな年代のワインがあります。

貯蔵庫は彼の従兄が管理しています。
ワインは整然と積まれていて、列ごとに承認番号が刻まれています。
何か問題があれば、この番号で追跡されます。


ブドウ畑にも連れて行ってもらいました。
木に苔が生していますが、北側にしか生さないそうです。
写真左端のブドウの木の上にある長い管はスプリンクラーになっていて、霜被害が起こりそうなときにはウルス川の水がまかれます。
この川の水は冬でも10度以上あるので、霜の害が防げます。


この日のメインは何と言っても、村人全員参加(?)の山歩き。
村人の手作り感あふれるこの催し物は、年に一回行われます。
小高い丘に、運動会で使うようなテントが点在して建てられ、そこでシャンパンと料理がふるまわれます。
前菜からチーズまでのスタンドがあり、のんで食べて、その後歩きまわるというイベントです。
スタンドとスタンドは歩いて30分くらいかかり、ブドウ畑の合間を歩いて見学できます。
この日は生憎の天気でしたが、素晴らしい景色と自然の澄んだ空気を満喫できました。
勿論いろいろなシャンパンも楽しみました!
村の皆は全員がお互いを知っているというかんじで、ジャン・バティストもすれ違う人ほぼ全員に挨拶をしていました。
なかなか地元の行事に参加することなどないので、とてもいい経験になりました。

今回は地元に密着したバーに行ったり行事に参加できて、本当のセル・シュール・ウルスを体験できたと思います。
素晴らしい経験をさせてくれたジャン・バティストに感謝の気持ちでいっぱいです。