ラトーさん訪問記

ブルゴーニュのボーヌにある生産者ラトーさんのドメーヌを訪れました。
この日は、雨が降ったりこの季節にしては気温が低く寒かったり、晴れたりと変わりやすい天気の中、
アルザスで自然派ワインを造っているという奥様のシルヴィー(Sylvie)さんも
ご一緒に畑や醸造に関してご案内していただきました!

着いて早々、畑に行こうということで向かったのは、ラトー氏自慢のプルミエクリュ(1級畑)の「レ・クーシュリア」。
ここは醸造所のあるボーヌから車ですぐ近くの場所にあります。

ここは白ワインの畑なので土も白っぽいそうです。
そして他の場所と比べると土の香りも違うんだそうで、実際に嗅いでみました。バニラやキノコ・・・・などの香り。
ずーっとビオディナミ栽培をしてきたラトーさんにとって、土の変化は重要なこと。
奥様も一緒に土やブドウ樹の状態をチェックしていました。

続いて「クロ・デ・マリアージュ」の畑へ。
こんなに草が生い茂っている畑は、今回訪れた畑の中でもダントツです!!
まさに究極の自然派栽培をちゃんと行っている証拠ですね。

ここは「クロ・デ・マリアージュ」の赤ワインの畑。やはりここでも土をチェック、さきほどの白ワインの畑より心なしか黒っぽいですね~。この畑は、ビオディナミをはじめた一番最初の畑。
周りは石垣に囲まれている為、隣で別の生産者が農薬などを使用していても影響はなく、本当にビオディナミを実践できる区画になっています。

実は奥様は、この結婚という意味の名前がついた「クロ・デ・マリアージュ」の畑で、ラトーさんに初めて会い、このふかふかしたビオディナミ栽培者にとって理想的な土を見てラトーさんとの結婚を決めたそうです♪
ラトーさんに聞こえないところでこっそりと教えてくれました。
まさに「ビオ夫婦」ですね♪
しかもマリアージュ(=結婚)という名前の付いた畑でなんて、ここはパワースポットなのでしょうか。

次は「クロ・デ・マリアージュ」の白ワインの畑へ。
赤ワインのはす向かいにあり、植え替えたばかりのブドウ樹がありました。
ここは土がやわらかく、キノコの香りがふわっと香りとってもふかふかでした。

このあと醸造所に戻り次リリースのビンテージを試飲させていただきました!
畑をみた後だといつもよりも、自然派の威力を感じました。
しかもここは蔵元、すぐ近くの畑で出来たブドウでここで造ったワインをこの場所で飲めるなんて美味しくて当然ですね♪
とーってもピュアな果実味が印象的なラトーさんのワインは、優しいアタックであとから土のようなキノコのような香り、白いお花やほんのり樽っぽい香りのするワインもあり、ラトーさんの人柄と畑に向かう真剣な様子が感じられます。

今回いろんな生産者の元を訪れましたが、ラトーさんが一番思い描いていたブルゴーニュの生産者という印象でした。とても素朴で、ワインと畑を愛し、真面目に自然派栽培に取り組んでいる本物の栽培家という印象です。
奥様も自然派ワインをアルザスで造っておりこの先もずーっとピュアなワイン造りを続けて行くんだろうととても信用のおける方でした。
私達もこんな素晴らしいワインを日本の方たちに沢山広めたいという思いが一層強くなりました。
ただ、小さな生産者の為大量に造ることはできないので数に限りはありますが、
ぜひ皆さんも一度お試し頂いてラトーさんのワインの素晴らしさを感じて頂きたいです!

中世から続くワインの街「ボーヌ」。
街のシンボル「オスピス・ド・ボーヌ」でのワインオークションは特に世界的に有名で、ブルゴーニュワインの首都と呼ばれる街です。

ラトー家は、このボーヌに古くからある家系でしたが、ワイン生産者だったわけではありませんでした。
所有する畑はわずかに1ヘクタール。そしてそれは全て自家用のワインを作るためのものでした。
彼の両親はボーヌのリセ(高校)で教鞭をとりながら、その一方で自家消費用として、楽しみながらワイン造りを行っていました。
ジャン・クロードは、子供のころからこのワイン作りを手伝うのが大好きでした。

醸造学校を卒業したジャン・クロードはワイン造りを磨くため修業の旅に出ます。
フランス中の様々な土地を渡り歩く中で、特に一人の偉大な生産者、ルネ・ボス・プラティエール氏(自然農法の分野で有名な人物。あのフィリップ・パカレの師の一人 としても知られています)のもとで多くを学びました。

そして修行からもどった1979年、彼は両親の小さな畑を受け継いで「ドメーヌ・ジャン=クロード・ラトー」を設立しました。
その後畑を順調に増やして10年後には10ヘクタールにまで増やしましたが、数年で「自分ひとりで完全にコントロールできる面積は8.5ヘクタールが限界」という結果が見えたため、現在はこの8.5ヘクタールの畑だけで、手の届く範囲でワイン作りを行っています。

彼のワインを待つ人はたくさんいます。
フランス人の中では有名な、グルメで鳴らす人物「ジャン=ピエール・コフ」が、彼の著作の中でお気に入りとして紹介したこともあり、輸出用というよりもフランス人が自分たちで楽しむ為に買うワインという感じ。

フランス国内のレストラン、個人への販売が75%に達し、海外へ販売できる分は全生産量のたった1/4しかありません。
この数量をフランス以外の輸入社がしのぎを削って争奪戦を繰り広げるわけで…毎年確実に確保するのが、実はかなり難しいワインなのです。

オーガニック、自然派、ビオディナミ、ビオロジック。
どれもワインに対して使われることがあり、意味するのは「ブドウという原材料からこだわる」ワインであるということです。

ぶどうの栽培に当たっても、農薬、化学肥料などは使用せず、酸化防止剤であるSO2も極力使用しません。

一言でいえば「畑が生きている」感じ。
いろんな生産者が様々なアプローチで栽培に試行錯誤を重ねますが、誰もが目指す目標は結局このような状態のようです。

たとえば害虫がブドウ畑に増えて被害が大きくなるのはなぜか?
それは天敵が畑にいないからです。畑に天敵がいれば、ある一つの種類が突然大きな割合を占める事はなく、少しはブドウもかじられるかもしれませんが、結局丸く収まっていきます。

農薬など科学的な薬剤を使わないのも、そもそも身体に悪いという事に加えて、「畑の生態系を大切にすること」「ぶどうの樹1本1本を過保護に育てることをやめ、そもそもそんな薬を必要としないくらい強く育てること」が目標なのだそうです。
この畑から取れた健全なブドウを使い、ラトー氏は丁寧にワインを作ります。

酸化防止剤を使用せず醸造しますので、まず醸造所は徹底的に清潔にします。雑菌が生まれる隙を作りません。

さらに、畑で選り分けたブドウを>醸造所でもう一度選定を行うことで綺麗なぶどうだけを選びます。

丁寧により分けたブドウは、畑の野生酵母の力を借りてワインに変わります。
ブルゴーニュで昔から伝わる方法で、ワインは赤も白も、澱と一緒に樽で熟成させます。

瓶詰の際は、状況によって無濾過、または軽く濾過して瓶詰します。