シャトー・シラン訪問

ボルドーのマルゴー村にあるシャトー・シランを訪問。
ボルドーではシャトーの所有者が頻繁に変わる中、1853年からずっとミアイエ家が家族経営で所有・運営しているメドックの中でも珍しいシャトーの一つ。今回は現在オーナーのエデュアード・ミアイエさんにシャトー内やワイン醸造やシランの歴史についてご案内・解説していただきました。

ミアイエ家は、1859年にトゥールーズ・ロートレックというあの有名な画家の祖父母から購入したのが始まりだそうです。
またパーカーからも品質の高い評価を得ているシランが格付けに入っていないのはなぜか、失礼ながら聞いてみると、1855年のメドックの格付けを決める頃、所有していたロートレックがナポレオンに対立していたことで参加できなかったというお話があるそうです。

シャトーは、全部で87haの土地を所有していますが、そのうち35haがぶどう畑として、マルゴー、オー・メドック、ボルドー・シュペリュールのワインを造っています。
今回訪問させていただいた醸造所や熟成庫などシャトー内は2010年に改築リフォームされたもの、とても清潔感のあるきれいなシャトーでした。
また印象的だったのは、ずっと同じ家系で続けていくことへの誇りを持つ5代目当主エデュアードさんは、これまでの家系図や家族写真、昔使用していたタンクなど今では使用していないものも大切に保存していました。

醸造設備は最新の設備を使用し温度・湿度管理を行います。また熟成庫内もできたばかりでの新しいもので、重ねて積み上げれば500樽ほど熟成できるそうです。
樽は、新樽比率が30%ほど、ちょうど私たちが訪問した時は、ファーストラベルのAOCマルゴーのシャトー・シランが入っていました。約12か月ほど樽熟成が行われるそうです。

品種は、メルローが大半占めるのが特徴。その他。カベルネ・ソーヴィニョンとプティ・ヴェルドが入っていますが、メルローからくるフルーティーさにプティ・ヴェルドのスパイシーなタンニンがポイント、と仰ってました。

さらに厳重な熱い扉から地下に入る「核シェルター」へ案内していただきました。
ここはスイス人が作った本物の核シェルターだそうです。ただしここでは人間用ではなくワイン用です。

かなり広いです。ここなら家族で生活できそうなくらいのしっかりとした広さとワインがあります。
1912年物のシランなど古いヴィンテージのシランがたくさんありました。

そして、屋上へ案内していただきました。

目の前に見える畑は、AOCマルゴーのシランを造るラバルドのぶどう畑。さらに格付けシャトーの、シャトー・ドーザックやシャトー・ジスクール、シャトー・プリューレ・リシーヌの畑も隣り合わせであります。
これで先ほどのなぜ格付けシャトーに選ばれていないかの理由も納得できますね。

最後にファーストラベルのシャトー・シラン、セカンドラベルのサン・ジャック・ド・シランを試飲させていただきました。
2009年のサン・ジャック・ド・シランと、2012年と2010年のシャトー・シランをテイスティング。
どれもまだ若いヴィンテージのフルーティーさが強く、エデュアードさんが言っていたようにメルローの果実味がパワフルに感じましたが、タンニン分のとげとげした印象はなく今飲んでも十分においしくいただけるバランスとなっています。
マルゴーらしいしなやかな印象と優しいバランスのとれたワインです。

今回訪れた、ボルドー、マルゴー村のシャトー・シランのシャトー内を訪問した動画をまとめましたのでご覧ください。
一部聞き取りにくい個所がありますので、翻訳テキストをお読みいただければと思います。

シャトー・シランの訪問記

●聞き手: ネットショップ店長田中、通訳・仕入れ担当セバスチャン、ボルドーネゴシアンデュボスさん