もともとスペインだけでなくワイン生産国ではワインを樽で寝かせてこなれた状態にし、
その風味を楽しむ
文化がありました。
造り立てのワインが渋くても、樽で寝かせておくことでまろやかになり香り、味わいともに複雑になる。

そんな発見から徐々に普及するようになってきました。

近年消費国として重要な位置を占める
アメリカマーケットの嗜好に合わせ、

「一口目が美味しい、果実味が強くパワフルなタイプ」

が輸出用として強化されてた結果、樽の使い方にも
バリエーションが生まれました。
(バーベキューや、フライドチキン、ワイルドな肉料理、
などとも美味しく合わせられるように)


このようなタイプのワインは1本数千円から時には
数万円の値を付けることも。

高価な新樽を使い、さらに内部をしっかり焙って焦がすことで、ワインに強い風味をつけようとしたもので、
伝統的なこなれた優しい飲み口、深みを出す樽熟成とは少し異なります。

しかし、実際アメリカの専門誌で高得点を取るものはこのように新しいスタイルのスペインワインが多く、
今では多彩なスペインワインの魅力の一つと言えます。

造り立ては渋すぎたり、強過ぎる味わいのワインを
樽熟成させていくと、味が徐々にやわらかくなり、
味や香りに深みが出て、
ある時、最高のタイミング(飲みごろ)が訪れます。

生産者はそれぞれ美味しいワインを作るために
どの樽を使うべきか、どれくらい熟成させるべきかを
常に研究しています。

では具体的に、樽を使うとワインの味は
どうなるのでしょうか?

ワインを樽に入れ、涼しい地下セラーで熟成させると、オーク(楢の樹)で造られた樽の風味が徐々にワインへと
移ってゆきます。
一般的には、バニラ、スパイス、キャラメル、そして焦げたスモーキーな風味が樽香の特徴です。
しかし、樽の産地、何年使用したか、樽の内側をどれくらい焙っているか、といった部分で、造り手ごとに
それぞれ微妙な差異が生まれます。
果実味だけでなく、このような複雑味を足しつつまろやかな飲み口にする、これが樽熟成のメリットです。

一方で樽熟成ワインのデメリットは、その分樽の価格が影響し、値段が上がってしまうことでしょうか。
しかし、このサン・ヴァレーロのワインは、
最も長期間熟成させる最上のグラン・リセルヴァでさえなんと2,000円以下!!
この価格で楽しめる本格樽熟ワインはそうそうありません!!



12か月間、アメリカンオークの樽で熟成させたワイン。
アメリカンオークは、フレンチオークに比べて樽の影響が出やすく、バニラを思わせる
香ばしい樽香が感じられるのも特徴です。
濃いめのサクランボを思わせる澄んだきれいな赤い色で、イチゴやラズベリー、ブラックベリー
等ベリー系果実の香りや、プラムなど大ぶりの果実の香り、少しメンソールやタイム等ハーブ
を思わせる爽やかな香りも感じられます。
全体をまとめるように、余韻に樽香がほのかに香ります。
熟成によって柔らかくなった味わいは、上品で滑らかな飲みごこち、熟成の甘みや酸味、渋みといった要素が
バランスよくまとまっています。
15か月以上熟成した、アミノ酸が出始めているようなハードチーズ、トマトやオリーブオイルをたっぷり使って
旨みを出した料理と良く合います。

最上級のグラン・リセルヴァは、最低60カ月(5年)の熟成が義務付けられています。
強い味わいや渋みといった要素が落ち着き、熟成の旨みが感じられるようになるまで、
蔵が責任を持って管理するよう定められています。
60か月の中で24カ月はアメリカンオークで熟成され、柔らかく甘い樽香が余韻に香るように
造られています。
残り36カ月のボトル熟成により、ワインは滑らかになり上品でクラシカルなスタイルへと変わります。

アメリカンチェリーのように綺麗なルビーレッドで、グラスの縁には綺麗なオレンジ色も見えます。
チェリー、ラズベリー、アプリコットといった果実の香りに、森のコケやミント、タイムを思わせる清涼感のある甘い
香り、甘草やニッキの甘苦い香り等 様々な香りが感じられます。渋みは熟成によって綺麗な甘みと旨みに
変わっています。
甘く煮た小豆のような、ほっこりした優しい甘みと酸味、残った渋みがバランスよくまとまり、休日にゆっくり時間を
かけて飲みたい、とてもエレガントなワインにし上がっております。飲む時は15~17度くらいの温度がお薦めです。
肉料理全般、熟成チーズ、イノシシ等ジビエや、旨みの強いイベリコ豚の料理等と良く合います。