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現在ドメーヌを運営するのは、名声を高めたユベールの息子、エティエンヌ(父ユベールと同じく弁護士で、フランス革命以前からヴォルネーの地に所領があり貴族でもあったモンティーユ家は代々法曹関係者を輩出してきた)。デリケートなタイプながら長い時間をかけて熟成する優雅なワインを生むつくり手として高い評価を得ているドメーヌは、近年より柔軟性を備えたスタイルに変化した。 エティエンヌがドメーヌに積極的にかかわり始めた1990年代初期より、畑では徐々にビオロジーク(それまでも除草剤などは使用せずにぶどう栽培はおこなわれていた)を取り入れ、現在ではほとんどビオ=ディナミでの耕作となっている。収量はミレジメで異なるものの、芽掻きでしっかりと切り詰め(ヴァンダンジュ・ヴェールトは基本的におこなわない)、高くてもヘクタール当たり30ヘクトリットル台に抑えている。 つくりは非常にフレキシブルで、ミレジメによっては180度異なるといってもよく、例えば2004年のヴォルネーの全銘柄は100パーセント除梗したが、2005年は逆に全く除梗せず、果実のカットもしなかった。アルコール発酵は高めの温度まで引き上げ、ルモンタージュはせずピジャージュも少なめ。新樽は多くても3割を超えず、近年その比率を減らす傾向(2005年、プルミエ・クリュでは新樽を用いないクリマもあった)にある。期間は20ヵ月前後と長めにとり、清澄、フィルターは無し。 以前のミレジメが異なってもあまり変化のなかったつくりから、上に記したようにその年毎のぶどうの出来に対応したそれになり、熟成のポテンシャルはそのままに、若いうちでも飲み口のよさが備わるようになった。しかし、モンティーユの真骨頂ともいうべき、出来上がるワインのアルコール度数の低さには変わりはなく、それらのほとんどは12.5パーセントから13パーセント未満という水準。 そしてヴォルネーとポマールに特化したドメーヌも現在のエティエンヌになってから大きく変化した。長年このふたつのアペラシオン中心だったが、1993年、ドメーヌでは初めて白の区画を手に入れた。アペラシオンはピュリニーで、プルミエ・クリュであるル・カイユレの0.5ヘクタール(現在では倍近くに増えた)がそれで、かのモンラッシェからわずか20メートルしか離れていないという絶好の立地。 新樽2割ほどを用いた樽発酵(バトナージュはごくわずか)によるワインは、15ヵ月間前後シュル・リー状態でオリと過ごし出来上がるが、白で名を馳せているつくり手のワインも顔負けの、ミネラル感十分の非常にクオリティの高いもの(それもそのはずで、エティエンヌはピュリニーの老舗ドメーヌ、シャトー・ド・ピュリニー=モンラッシェの支配人も務めている)。 さらに2005年にはムルソーの村にシェとカーヴを購入、設備も新たに陣容を整え、ヴォルネーとポマール以外の区画からのワインの生産も開始した。グラン・クリュのコルトン、ボーヌのプルミエ・クリュに、初めてのコート・ド・ニュイの銘柄が加わった。グラン・クリュのクロ・ヴージョにヴォーヌ=ロマネのプルミエ・クリュであるマルコンソール、それにニュイ=サン=ジョルジュ。なかでもマルコンソールは通常のものとキュヴェ・クリスティアーヌ、2つがあり、後者はラ・ターシュに入り込んだ区画からつくられる、ほとんどグラン・クリュ並みの酒質のワイン。 数年後にはコルトン=シャルルマーニュ(ピノ・ノワールが植わっていたコルトン・プジェの区画からで、シャルドネに改植した)もリリース予定。面積も17 ヘクタールにまで広がり、単にヴォルネー、ポマールを代表するドメーヌというには止まらない陣容となったドメーヌ・ド・モンティーユである。
ポマール プルミエ・クリュ “レ・グラン・ゼプノ” 1996年 ドメーヌ・ド・モンティーユ グラン・ゼプノは、人気一級畑レ・ゼプノーの中のさらに優れた区画で、特級に匹敵すると言われるポマール最良の１級の一つ。絹のようになめらかな触感で、優れた骨格と個性をもったワインが生まれます。スケールの大きい味わい、将来を実感できる王者の風格が有ります。 セレナ・サトクリフ女史はレ・グラン・ゼプノについて、「もしも私がコート・ド・ボーヌに新しいグラン・クリュを2つ授与するという楽しい役目をおおせつかったとしたら、レ・グラン・セプノとリュジアン・バにその栄光を授けるだろう。どちらのワインも熟成により真に壮大なワインに成長する能力を持っているからであり、これはグラン・クリュに不可欠な資質である。レ・ゼプノは優れた個性と骨格を備え、若いうちはリュジアンよりフルーティーで硬さがないことが多い。」