200年以上続くレコルタン＝マニピュラン

モンターニュ・ド・ランス地区ジュイ＝レ・ランス村に本拠を置くシャンパーニュ　L. オブリ・フィス／Champagne L. Aubry Filsは、フランス革命の翌年、1790年から200年以上続くRM（＝レコルタン＝マニピュラン）。現在、ドメーヌはピエールとフィリップの兄弟によって運営されている。L. オブリ・フィスの名前は日本では余り知名度が高くないものの、フランスでの知名度は非常に高く、アシェット・ワインガイドでは手掛けるキュヴェのほとんどが毎年のように掲載され、ガイドの常連になっている。また、歴代の世界ソムリエコンクール優勝者によるワインガイド、『レ・ソムリエ・プレザント・ル・ギッド・デ・ヴァン／LES SOMMELIERS presentent le guide des Vins』においても、シャンパーニュの古代品種を現代によみがえらせた情熱的な造り手として取り上げられている。

シャンパーニュ革命の先駆者

シャンパーニュは90年代に入り、エグリー・ウリエ、ジャック・セロスといったRMが隆盛を極め、クリュッグ、ボランジェなどの大手シャンパーニュ・ハウスに勝るとも劣らない評価を得るにいたった。この流れは、「ドメーヌ・シャンパーニュの時代」、「テロワール・シャンパーニュ（シャンパーニュ・ド・テロワール）の時代」として、評論家やメディアにもしばしば取り上げられてきた。しかし、数年前から、シャルドネもピノ・ノワールも、ピノ・ムニエも使わないシャンパーニュ、そして7種のブドウ品種のアッサンブラージュによるシャンパーニュなど革命的な挑戦を続けてきたL. オブリ・フィスの成功に触発され、今、シャンパーニュの若手ヴィニュロンの間には、アルバンヌやプティ・メリエ、ピノ・グリ、ピノ・ブランなど主要3品種以外のブドウ品種を畑に植樹するものが急増し、新時代シャンパーニュの大きなうねりとなって注目を集めている。この中心にいるのが、まぎれもなく、シャンパーニュ革命の先駆者として20年以上も前に古代品種の栽培に着手し、現在のムーブメントを生み出したL. オブリ・フィスなのだ。

サロンの対局にあるシャンパーニュ

L.オブリ・フィスの造る伝説的シャンパーニュ、ル・ノンブル・ドール"カンパナエ・ウェテレス・ウィテス"は、シャンパーニュに認められている全ての葡萄品種(8種類)がブレンドされた超キワ物シャンパーニュとして4年前の発売以来、世界中で大反響を巻き起こしている。この成功に触発され、今、シャンパーニュの若手レコルタンの間には、アルバンヌやプティメリエ、ピノグリ、ピノブランなど主要3品種以外の葡萄品種を畑に植樹するものが急増している。しかし、200年以上続くシャンパーニュでも最古のRMの1つとして、そしてシャンパーニュ革命の先駆者として20年以上も前に古代品種の栽培に着手し、現在のムーブメントを生み出したオブリ・フィスのこの前人未到・唯一無二のシャンパーニュを味わうことなく、新時代シャンパーニュの大きなうねりを体感することは不可能である。

漫画「ソムリエール」のコミック4巻、第30話「ひとりぼっちのクリスマス」の中に「サロンの対極にあるシャンパーニュ」として登場。世の中で人が人を必要としているように、8つの品種が助け合ってひとつの味を作り出しているシャンパーニュとして印象的に紹介されました。

シャンパーニュ L. オブリ・フィス ル・ノンブル・ドール カンパナエ・ウェテレス・ウィテス ブリュット ミレジム 2009年

ピノ・ブランとピノ・グリ（フロモントー、アンフュメ）25％、プティ・メリエ25％、アルバンヌ20％、ピノ・ノワール20％、シャルドネ10％、ピノ・ムニエ1％未満

8種のブドウ品種のアッサンブラージュによる複雑さが、香りや味、色調に顕著に現れている。微かに琥珀がかった黄金のローブ。バラやスズランなどの花のアロマから、洋梨などの果物や乳酸のアロマ、さらには焼き栗のような燃焼香までが感じ取れる非常に複雑で精妙な香り。芳醇で上品、そして深みを備えた大変長い余韻。

ステンレス・タンクで発酵後、引き続きステンレス・タンクでマロラクティック発酵と9ヶ月間の熟成を行う。その後、瓶内熟成。2009ヴィンテージは2014年6月にデゴルジュ。ドザージュの量は1リットルあたり3グラム。瓶内熟成期間48ヶ月。

ル・ノンブル・ドールとはフランス語で、絵画、彫刻、建築などの美学において構図に美感を与えるとされる黄金分割の“黄金数”を意味する単語。古代品種がシャンパーニュの味わいに“美感を与える黄金数”であるというオブリ兄弟の美学的信念が名前に込められている。

＊カンパナエ・ウェテレス・ウィテスとはラテン語で、“シャンパーニュの古代品種”を意味する単語。

ネック・ラベルの太陽のデザインはオブリ家のエンブレムで、ルイ14世の紋章と同じもの。ヴェルサイユ宮殿を建設し、フランスの歴史において絶対王政を確立したルイ14世は、太陽のように唯一無二で比べるもののない存在であることから大要追うと呼ばれましたが、L. オブリ・フィスも、“ル・ノンブル・ドール”を筆頭に、唯一無二で比類のないシャンパーニュを造るという哲学から太陽がドメーヌのエンブレムとなった。