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南仏で良質の白ワインを見つけるのは極めて難しい。しかし、フランスで、「プロヴァンス最良の白」として広く認知されている素晴らしいワインがある。それが、マルセイユの隣にある小さなアペラシオン、カシ（Cassis）だ。 ブルゴーニュのシャンボール・ミュジニィやジュヴレィ・シャンベルタンと同じ1936年にAOCに認可されたカシは、南仏のみならずフランス最古の白のAOCの1つである。栽培面積はシャンボール・ミュジニィとほぼ同じ180ヘクタール。蔵元の数は18軒にも満たない。少数精鋭の造り手たちが切磋琢磨しているワイン産地だ。アペラシオンの全生産量の75％を占めるのは白ワイン。そのたぐいまれな品質は、カシの極めて特殊なテロワールに大きく由来している。 ブドウ畑は、カプリ島の青の洞窟を髣髴とさせる神秘的なエメラルド・ブルーの海を見下ろす標高400メートル（フランスの海岸沿いで最も高い）の断崖絶壁の丘に位置する。このため、ミストラル（フランス南東部に吹く地方風。冬から春にかけてアルプス山脈からローヌ河谷を通って地中海に吹き降ろす、寒冷で乾燥した北風）から守られ、地中海から吹き付ける海風の恩恵を最大限に受ける。春の雨が芽吹きを助け、秋の雨によって乾燥しきった大地が活性化する。年間3000時間に及ぶ日照量と腐植土に恵まれない痩せた土壌のため、ブドウ樹は地中深く根を伸ばして水分や養分を取り込まなければならず、結果として地中のミネラルや豊かな滋味がワインの味わいに見事に反映されたワインが生まれるのだ。 そのカシで常にベスト3に挙げられる蔵元がドメーヌ・デュ・パテルネルだ。とりわけ、白ワインの名声が高い。実はあまり知られていないが、歴代の世界ソムリエ・コンクール優勝者の監修による『フルールス・ワインガイド』において、ドメーヌ・デュ・パテルネルの白ワインは、ドメーヌ・ドーヴネーのムルソー“グット・ドール”と同じポイントをたたき出し、ラフォンの“クロ・ド・ラ・バール”や、ミクルスキーの“ジュヌヴリエール”より高い評価を獲得した驚くべき実績を持っている。 また、『ワイン・アドヴォケイト』では、カシのワインとして歴代最高得点を獲得。パリ農事コンクールでは2年連続金賞を受賞した。加えて、高名な『アシェット・ワインガイド』においては、プロヴァンスの白ワインがク・ド・クール（＝最も心に残るワイン）を獲得することは極めて少ないにもかかわらず、『アシェット・ワインガイド／2007年版』で見事「最も心に残るワイン」に選出され、ラベル入りで大きく掲載されたのである。 このように、ドメーヌ・デュ・パテルネルの白ワインは欧米で高く評価されている極めつけのワインなのだ。クレレット、マルサンヌ、ユニ・ブラン、ドゥシヨンのアッサンブラージュから生まれるそのワインは、若いうちはそれぞれの品種独特のアロマと、新鮮な口当たりを持つ生き生きとしたワインで、しばしば地中海の風の影響にってもたらされたヨードの風味が余韻に感じられる。ヴィンテージに恵まれると10年近く熟成させることが可能で、ワインは蜂蜜のような色合いを帯び、複雑な芳香を備え、偉大なブルゴーニュの白ワインに比肩するものとなりうる。 カシについてヒュージョンソン氏は「プロヴァンス　マルセイユの東の村。ブイヤーベースの相手役の若干の個性を持つ辛口の白を産することで知られる。」として★★ダブルスター高評価！	カシ “ブラン・ド・ブラン” 2008年 ドメーヌ デュ・パテルネル 手摘みで収穫したブドウを直接圧搾、ステンレス・タンクで自然酵母のみで低温発酵。発酵温度は17-18度。発酵終了後、熟成用タンクに移し、収穫の翌年2月まで熟成させて瓶詰め。 青みがかり、輝くような黄金の色調。白い花や柑橘類を思わせる豊かで溌剌とした香り。白い果肉を持つ果物や柑橘類のノートがあり、複雑で円やかな味わい。美しく長い余韻がある。 サーヴィスは10-12度で。貝や甲殻類、ウニ、ブイヤベース、魚のグリエ、山羊のチーズなどと相性が良い。瓶詰めの6-8ヶ月後から楽しめる。3-4年は熟成可能。熟成するにしたがって円やかな味わいに成り、ハチミツのノートが現れる。 While not from either the Languedoc or Roussillon，this Cassis (Provence) deserves to be included as it is a gorgeous example of its appellation. A blend of Marsanne，Clairette，Ugni Blanc，and Bourboulenc，it has sea salt，white flower，and spice aromas. Light to medium-bodied，this is a rich wine loaded with mineral，apricot，spice，apple，and pear flavors. This beauty is lush，ripe，and flavorful. Bring on the Bouillabaisse! Wine Advocate #139 （2002-02-28）