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複雑に入り組んだ丘のお陰で南西向きの温暖な畑と北東向きの冷涼な畑が混在する。これが重さではなく、繊細さや複雑味を与える。土壌はジュラ紀石灰質土壌が主体でシャルドネが植えられているが、一部青いマール土壌があり、サヴァニャンとの相性が良い。ジュラで最も生産量が少なく、最も女性的で繊細な味わいがレトワール。その代表的造り手で最も古典的スタイルが「モンブルジョー」と言われる。 ジュラの造り手の中で唯一の女性当主が、現モンブルジョ当主「ニコル・ドゥリオー」。1986年からワイン造りに参加している。1956年には父親である「ジャン・グロ」が畑を買い足し、クレマン・ド・ジュラの販売を開始。クレマンの造り手として人気を博した。現在11haを所有。7haがシャルドネ。1.5haがサヴァニャン。残りがプールサールとトゥルソー。ニコルはディジョン大学で栽培と醸造学を学び、独自の考えで畑を活性化している。ビオディナミ等の認証はフレキシブルさを失うので嫌い。畑は5ヶ所に分かれていて、全ての畑は森と隣接していて生物多様性を確保している。また、南向きと東向き斜面を畑にしていることも重要。最も高い樹齢はおよそ100年でシャルドネとサヴァニャンの混植になっている区画で特別キュヴェ「バノード」に使われる。 醸造はお爺さんの時代から変わらない伝統的醸造。野性酵母のみで発酵。ボトリング時のみ、極小量の亜硫酸を添加するが、熟成中は無添加。色々な樽で熟成させ、産膜酵母が着いたものと着いていないものをアッサンブラージュすることで重過ぎない、繊細なレトワールとなる。産膜酵母はレトワールに自生する独自のバクテリアが生成するもので、スペインのフロールとは根本的に異なる性質なのだそう。温度が低いと蒸発分は少なく、酸化ニュアンスは弱い。また産膜酵母も薄いので熟成したチーズのような強烈な香はなく、コンテのように繊細。	レトワール ヴァン・ジョーヌ 2010年 ドメーヌ・ド・モンブルジョー 南東を向くブード畑の樹齢50年から70年のサヴァニャン種を野性酵母のみを使用しステンレスタンクで発酵。マロラクティック終了後に古いヴァン・ジョーヌ専用樽に入れて7年間熟成。その間1度もウイヤージュせず、動かさない。熟成庫は1920年から変わらない地下セラーは温度が低いので蒸発が少なく、酸化ニュアンスも穏やか。繊細さが味わえるヴァン・ジョーヌ。