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『世界で最も美しい海岸線』と称され、ユネスコの世界遺産にも認定されているアマルフィ。美しい景観だけでなく、その独特の文化がここにはある。歴史的には9世紀頃から繁栄したアマルフィ公国が独自の文化を形成した。その後もティレニア海に囲まれたラッターリ山脈に隔てられたソレント半島独特の地形（海岸付近に平地がなくいきなり崖になっている）によって、交通の便が非常に悪かった（半島に入り込むには一本の道しかない）為、その独自の文化が壊されることもなく、外部の文化が入りこむこともなかった。現在では、イスラム文化の影響を受けた中世独特の建造物や史跡、自然環境とレモンや手漉し紙の特産品で人気の観光地となっている。 2000年前から続くワイン文化に関しても独自の路線を進んでいる。イタリア全土、もちろんカンパーニャの平野部もすべてフィロキセラにとって一時壊滅状態になったわけだが、本土からティレニア海、ラッターリ山脈によって遮断されていること、さらにはさらさらと軽い火山灰土壌によってアマルフィはフィロキセラの害から守られる結果となった。現在、フィロキセラを逃れた自根の品種も含めた独自の固有品種が80種類も残っている。そのほとんどの品種はソレント半島以外では見かけることのない品種。 サンフランチェスコは2004年に設立された若いカンティーナで、代表はこの地を熟知するボ－ヴェ・ガエターノ。ソレントでも非常に優れた土壌を持つといわれるトラモンティに位置する。ソレント半島の中心部に位置し、ティレニア海からすぐの断崖絶壁の上部、標高は500Mに畑を所有。トラモンティとは『陽が沈む』という意味を持っている。その名のとおり三方を海に囲まれたトラモンティは日没までの時間が長く、極端に長い日照時間を手に入れ、元来高い酸度を保有するソレントの地ブドウは高い熟度を手に入れることとなる。 畑では極力、化学肥料、薬剤の使用を抑えている。急勾配の畑だけに機材は入れることができず、すべての作業は手作業となっている。土壌は石灰質と火山性土壌。時間と共に石灰が腐敗化し、崩れ、石礫になり、火山性と土壌と混合されている。この土壌はワインにストラクチャー、そして高い酸度を与えることとなる。そして、トラモンティ最大の特徴はティレニア海を感じさせる塩味。ミネラルのゴツっとした結晶のような太い塩味が、イタリア料理を引き立てる。 白ワインは自根のビアンコレッラとこれまた自根のペペッラ（フリウリのピコリットと同種とも言われる）にファランギーナがブレンドされている。自根のブドウは樹齢も高く、野生種のため、結実が悪い。ペペッラは特に大きな粒は少しで小さい粒が殆ど。房は長く垂れ下がり隙間だらけ。果汁に対して果皮の割合が異常に高く、必然的に収穫量は少なくなり、凝縮度が上がる。 黒葡萄はアリアニコ、自根のティントーレ、さらに自根のピエディロッソが育っている。ティントーレはトラモンティにしか存在しない葡萄で、やはり結実が悪い。さらには育成に時間がかかる難しい品種で例年収穫は10月後半から11月にもなる。高い酸度、豊富なタンニンで長期熟成が可能。仕立ては自根の葡萄樹に関しては伝統的な棚つくりが採用されている。	トラモンティ・ロッソ・ティントーレ プレ・フィロキセラ “エイス” ヴィーニャ・パラディソ 2007年 プレ・フィロキセラのティントーレ100％。樹齢100年以上。古いものは300年！大樽で12ヶ月、その後バリックで12ヵ月、瓶内で12ヶ月間熟成させて出荷。