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「素晴らしいドイツワインがあります。日本に輸出したいのですがどうすればよいのでしょうか？」ショーンレーバー家のワインに魅せられたドイツ在住の輸出コンサルタント高橋克彦氏は日本の酒類輸出入コンサルタントの鈴木雄介氏に相談しました。 鈴木氏は「日本で名の知れた甲州種をラインガウで造ってもらったらどうだろう」と答えました。鈴木氏は以前から日本の醸造用葡萄品種である甲州種の可能性に着目し、世界の有名ワイン産地での栽培されることを強く願っていました。高橋氏は早速、鈴木氏のアイディアをショーンレーバー氏に伝えます。ショーンレーバー氏はこのアイディアに「やりましょう！」と即答、ここにラインガウ甲州のプロジェクトが開始されました。 ショーンレーバー氏は数々のお役所仕事の関門を潜り抜け2002年に連邦農業局及びヘッセン州植物保護局から試験栽培用の「根の付いていない葡萄の木」を輸入する公式認可を得ることに成功しました。 2002年秋、この知らせを聞いた鈴木氏は山梨県の植村葡萄研究所より500本の甲州種の苗木を購入し、来日した高橋氏に託し、高橋氏はスーツケースに詰め込んでショーンレーバーに送り届けました。ショーンレーバー氏はホーホハイマーの苗木会社に接木を依頼し、そこでベルナー種の台木に接木された244本の苗木が生まれました。 2003年春、244本の甲州種はショーンレーバー・ブリュームライン家の葡萄畑ミッテルハイマー・エーデルマンの540平方メートルの区画に植樹されました。ショーンレーバー氏は経験の無いこの葡萄品種に特級畑のリースリングと同じレベルの丹念な栽培を実施しました。 2005年5月の発芽以降、ラインガウの地で伸び伸びと育った甲州種は10月の時点で収穫可能な糖度84エクスレ度に達しましたがショーンレーバー氏は更に遅摘みを決定し、11月3日に収穫されました。収穫時は94エクスレ度に達しました。ショーンレーバー氏の最後のリースリング収穫より2週間後の事でした。収穫された葡萄を慎重に低温発酵を行い、アルコール度11％、エキス分19.9％、残糖6.3g/Lのワインが造られました。クリーンで日本の甲州種にある苦味も無く、酸味と糖分のバランスが非常に良いワインに仕上がりました。 ショーンレーバー・ブリュームライン家は1746年創業のショーンレーバー家のワイン造り12代目のカールと1792年創業のブリュームライン家のゲルダが1976年に結婚し、シュロス・ヨハネスベルがーに近いバンケルの地に新たな醸造場を建設したことに始まります。同家はラインガウの銘醸地ミッテルハイムに10haの自社葡萄園を所有、年間平均80,000本（6600ケース/12本）の高品質なワインを出荷しています。 自社葡萄畑の38％は特級畑（エステス・ゲヴェックス：ラインガウ地区最高級ワイン）に公認されており収量の少ない古木より凝縮感のあるワインを生み出しています。 同家では葡萄の品種に相応しい場所の選定、草生栽培の実施、害虫対策にはフェロモンカプセルの使用、環境に優しい最善の肥料の最小限の使用、除葉やグリーンハーベストの実施、すべて手作業の収穫等、徹底した畑の管理を実践しています。収穫された葡萄は粒選りの選果が行われ最高の葡萄のみでワインが醸造されます。また、1999年にコンピューターにより温度管理を行う最新式のステンレスタンクを導入（ラインガウでは2社目）、醸造時に完璧な温度管理を実施できるようになりました。 最高の葡萄と醸造技術が相俟って、同家のワインは他のワイナリーのワインに比べて一クラス上の質を誇ります。2004年秋、一流グルメ全国誌「ファインシュメッカー」が首都ベルリンで主催したワイン品評会で、同家は栄冠を獲得しました。600名を超えるワイン専門家、ホテル・飲食業界関係者、一般招待客が、ドイツ全国から選別されたワイナリー38社のワインを試飲し、無記名で評価をした結果、ショーンレーバー・ブリュームライン家が「ベスト醸造家」に選ばれ、「2004年度ファインシュメッカー新人賞※」を獲得しました。　（※初参加で最優秀賞を獲得した醸造家に与えられる賞）	グーツリースリング トロッケン 2011年 シェーンレーバー・ブリュームライン家 ライン河に向かって南向きの斜面に位置し、絶好の栽培条件を有するラインガウの中心部ヴィンケルの畑で丁寧に育てられたリースリング種を全て手摘み収穫。空圧式のプレス機で搾汁機、14日間、16℃に温度コントロールされたステンレスタンク内で自然酵母を用いて発酵。翌年7月までタンク内で熟成後ボトリング。 酸味と糖度のバランスのとれたハーモニー。明らかなモモの香りと穏やかな酸味、毎日手軽に気軽に楽しめるシンプルなベーシックなリースリング辛口白ワイン。 フランク・ショーンレーバー氏