ボデガス・カルチェロは1980年代はじめに設立され、フミーリャを近代的なワイン産地へと発展させたパイオニア的ワイナリーのひとつです。ブドウ栽培においても徹底的な調査が進められ、スペインでももっとも乾燥したこの地域で最初に科学的な水利用なども実践し、今ではシラーやカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロといった国際的な品種も栽培されています。1990年代には、芳醇で若々しい、フレッシュなスタイルのワインを実現し、とたんにかつてないほどの国際的な成功を収めました。

ラベルはロンドンの権威あるデザインコンクールで受賞歴のある、フミーリャ出身のアーティストが手掛けたものです。2008年ヴィンテージ以降、カルチェロでは若く才能あふれるスペインの醸造家Joawuin Galvesを迎えてワイン造りを行っています。

使用する品種については、ブドウの品種にかかわらず、その年のブドウの品質やスタイルに応じて3段階評価を用いて分類。その評価に応じてセパージュを決定するため、毎年異なる可能性があります。所有する畑は280ha。標高は600-1050メートル。土壌は白亜質粘土で、気候はとても乾燥しており、年間降水量は約200mm以下と少なく、カビなどの病害はあまり問題になりません。

カルチェロ・セレクト 2012年 ボデガス・カルチェロ

2012年カルチェロ・セレクトは、ワイン業界で最も重要で影響力のあるメディアとして知られる北米のワイン雑誌ワインスペクテーター2016年5月31日号で「最も一推しのワイン」5選に選出されると共に、各評論家から秀逸な評価を獲得したワインの中でも最もコストパフォーマンスに優れたワインとして紹介されました。

2007年ボデガス・カルチェロは、カルチェロ・セレクトの単一畑を新たに区分けしました。2012年が初ヴィンテージとなるこのワインは、格別な品質で他のワインとは一線を画す新商品として生産を開始しました。植物検疫処理を免れた畑から入念な選果作業を経て収穫し、土着の酵母菌を用いてアルコール発酵させた後、一級品のフレンチオークの新樽で二次発酵。熟成は、フレンチオークの樽で1年間熟成させた後、一定の温度で管理しながら2年間瓶熟成させました。この素晴らしい味わいについて、ワインスペクテーターのワイン評論家は、次のように定義します。「タンニンの味わいとプラム、甘草、黒鉛の風味が感じられる素晴らしいテクスチャー。程よい酸が余韻の長い後味を残し、スパイスと花の香りが徐々に表れる。生き生きとした表情豊かなこのワインは、リリース直後でも十分に楽しめるが、2022年まで素晴らしい味わいが続く長期熟成のポテンシャルを備えている。」

2012年ヴィンテージ情報
2012年は、一年を通して暑く乾燥した気候で病害の懸念はなかったものの、干ばつで収穫期が早まり、1945年以来の低収量でスペイン全土で40％もの収穫量の落ち込みが予想された。収穫は少なかったものの、収穫された実は凝縮感のある濃厚な味わいで、一部の地域では酸の量が少なかったと報告されている。十分な酸味を必要とするテンプラニーリョにとっては、醸造家の手腕が試された年で、周到な手入れを必要とした。2012年は素晴らしいワインがリリースされるに違いないが生産量は限られるだろう。

テイスティング・コメント
色：インクのような濃厚で暗い深紫色を眩いクリーンなガーネット色が縁どる。
香り：熟れた果実や青い花の仄かで繊細な香りが感じられる複雑でエレガントなアロマ。フレンチオーク新樽での発酵・熟成により、複雑で繊細なアロマが香り立つ。フィニッシュでは、バルサムのクリーミーなアロマが長い余韻を残す。
味わい：エレガンスを凝縮させたようなワイン。よく熟れた果実とタンニンのフレッシュな味わいが心地よい。長期オーク熟成による陰りが全く感じられないフレッシュな果実味。長期熟成のポテンシャルを備え、リリースから15年以上は、素晴らしい味わいへと発展を続ける。