そして、その後、エリさんの奥様、モニークさんのお手製のステキなランチが
とっておきの秘蔵ワインとともにテーブルに供されました。
なんと、そのワイン、
「 82マルゴー VS 96カステルグラン・ヴァン 」!!
なんたるゴージャスランチ!
昼間から、こんなこと許されるのでしょうか!
うわ~、申し訳ないなぁ、でも超嬉しいなぁ~。
だって、これってエリさんが自分のために特別にストックしている
超お宝ワインの一本です。
お手製のご馳走と、82マルゴー、96グランヴァン。
96はさっき熟成してきた感じがプリティ~で、
気になる一本だったので、あれから時間も経ち、どんな風に開いて
いるのか、もう考えるとワクワクしてきました。
さぁ、家族全員(10人!)テーブルをかこんで利き酒会が始まりました。
グラスの96は、さきほどより一段と華やかさを増し、
すべるような細やかでシルキーなタンニンがワインに溶け込んで、
最高級のボルドーワインに匹敵する装いです。
まろやかでふっくらと豊で、いい熟成を見事に果たしたこの一本は、
エリさんが苦労してワイナリーを起こしたのが88年。
92年産のカステルは、あの世界的に有名なワイン評論家
MWセレナ・サトクリフ女史から
「 離れ業! 」
という異名をつけられるほど、素晴らしい評価をえる事が出来、
以来、彼女はたくさんのヴィンテージにもコメントを寄せています。
もちろん、この96年にも
「 このワインは非常によい熟成を迎える兆しを持っている。」
と、99年4月22日に予測しているのですが、その7年後、
まさにその通り、贅沢なまでに艶やかな熟成を迎えたのです。
さすが、MW、その眼力は世界にたった250人ほどしか
いないだけのことはあります。
さて、こうなれば気になるのが82マルゴーの美味かげんやいかに?
期待があまりに大きすぎたのか、82マルゴー姫はうつむき加減で、
ボトルを開けたことが気に入らなかったのか、渋みと収斂味を
前面に出しとうとう開くことなく、抵抗して幕を閉じる事になりました。
ボディがマッチョすぎて、まだ年頃になっていなかった、
そんな感じでした。
プリプリ怒っている82マルゴー、妖艶な微笑を浮かべフルボディで
誘惑にかかる96カステルグランヴァン。
目隠ししてまさにブラインド・テイスティングに挑んだ私と、
エリさん達一家。
誰もが今美味しく飲めるのは、グランヴァンだと実感したひとコマでした。
なんとも好対照で、いやはや、ワインとは難しいもの。
ご機嫌取りはなかなか人間の思うようにはいきません。
|