グラシア
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突撃蔵訪問~! あのグラシアのグラシアさんの蔵に行って来ましたー!
今年4月、サンテミリオンのサロンで試飲をした時のこと。
「うわー、なんて水水しいおいしさなんでしょ!」
ジューシーでおいしさが弾むよう。
生気に満ち溢れたなんともステキな口当たりは、ヴァランドローにベガ・シシリア、
その日居並ぶ、名だたる名手ぞろいのワインの中でもひときわ異彩を放って、
図抜けた器量の美しさを感じさせるワイン。
それがグラシアでした。
素直であどけなく、口から入ってすぐ、人の心の真芯をついてくる。
心を奪われるとはこのこと。
作り手のおじさんをチラッとみると、おじさんも私をチラッ。
それからお互いにニコッ!
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いいですねー、この感じ。
幼子のような素直な感性とでもいうのでしょうか。
迷わず「あの、これ、すごくすごくステキです。
貴方のシャトーにお邪魔したいんですけど、よろしいですか!?」
「もっちろんだよ!」
ニコニコ承諾で、ミシェル・グラシアさんの蔵にすぐ訪問することができました。
ヴァランドローの蔵の程近くに小さなグラシアさんのセラーがあります。
ワインを仕込む時に、樽の上部に穴があり、ボンドというガラス栓で蓋を
してある光景を幾度となく見ましたが、ここではシリコンの特殊な栓を使っています。
「ガラスの栓が一番よくないんだよ。こいつが一番機密性がいい。
けど臭いがついちゃうんで、毎年交換しないといけないのが面倒だけどね。」
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樽はダルナジュー、タランソー、セガンモローなどおなじみの一流どころ。
樽と品種の個性がうまく出て、異なる個性がうまく混ざるその瞬間がとても楽しみとか。
98年のグラシアは、醗酵途中のワインを攪拌する作業(=バトナージュ)を
ミシェルさんが直かにやってみたというお話にはびっくり。
もともとこれバトン(=かき混ぜ棒)で攪拌するのでバトナージュっていうんですが、
ミシェルさんたら自分の身体でワインをグルグルかきまぜたのですからスゴイ。
足だけで踏み続けるのは圧力が強すぎるので、泳ぐみたいに軽ぅ~くするのが
ちょうどいいんだ。
なんて、なんでもやりたいことは型に捕らわれずすぐ実践。
ムートンやオーブリオンじゃこんなこと絶対やりません。まずやれません。
気狂い沙汰だとオーナーから首にされてしまうようなことなのです。
自由な発想と自由な精神。
どこまでもいっぱいの遊び心と知的探究心、そして人知れぬ努力の中から
グラシアのすばらしい味わいが生まれて来ることを実感しました。
ミシェル・ロラン、ジル・ポケ、そしてオーゾンヌのボーチェさんなどに
一流の面々に意見を聞きながら醸造の調整をすることもグラシア
の質を維持する重要なポイントですが、決してまかせっきりにはしません。
細部にいたるまで、判断するのはすべてミシェルさんなのです。
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蔵でいただいた2001年と2002年のグラシアのおいしかったこと。
01年は豊かさ、なめらかさ、深さ、完全な調和をもっていてさすが、
たった20hlの超低収穫の凝縮感。(法律の規定値は55hlです。)
おいしさの固まりのような素晴らしいワインでした。
気になる2002は、タンニンがとてもうまく太ってうまみが
がっちりと味わいの中心を踏み固めている、純粋においしい仕上がりです。
ミシェルさんって本当にすごい。
ご本業は石工さんで、ここはさすがに職人さん。
随所に緻密な計算とやわらかな創造性が存在しています。
畑でもそんなこだわりと工夫があちこちに。 |
ケミカルは極力避け、草も残します。
草が余分な水分を畑から取り去ってくれるのだそうです。
ブドウを小さく仕上げるために厳しい環境を配備しました。
ブドウの樹間と仕立ての広いこと高いこと。
2m近い垣根の高さで木を育てると太陽をしっかり浴び、
完熟して果皮の厚い小さなよいブドウができるそうです。
とてつもないグラシアのピュアで凝縮されたおいしさはここから来ていました。
世間ではサンテミリオン、カルトワインの筆頭にされるこのグラシア。
仰々しい哲学めいたお話の中から誕生するワインかと漠然と
思っていたのですが、なんのなんの。
そこには、受け狙いな気負いや、堅苦しい理屈が何もない。
蔵ではお坊様のように慎重に神妙にワインを試飲させてくれ、
畑では子供のように遊び戯れる。
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2002 Gracia
1999 グラシア
コク辛口 赤 750ml |
商品番号AKGA0199 | |
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うまいワインが飲みたいからさ。
そのためにはなんでも楽しんでやらなくっちゃネ。
どこまでも自然体、それがミシェル・グラシアさんの素顔とグラシアの
ありのままの姿でした。
畑がたったの1.8ヘクタール、本当に小さくてロマネコンティと同じ位。
まだまだ人知れぬワインですが、サンテミリオン愛好家もしくは5大シャトー
もう飽きちゃった皆様には、ぜひとも飲んでいただきたい注目必死のワインです。
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