トルシュテ
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そうはいいながら、今では昔のように農業高校を卒業すれば誰でも
蔵の跡継ぎになれる訳ではなく、
大学入学資格(バカロレア)を取得し、
6ヶ月以上は他のドメーヌへの修行が義務付けらているため、
なかなか蔵の跡継ぎになるためには、頭脳と根性がいるのです。
モルガン君、君なら大丈夫だ。
よき師とよき家族、そして賢そうな眼差しとやる気が静かに
燃えているその面構え。
これからもトルシュテはおいしいワインの代名詞になっていくことでしょう。
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注ぐ方も注がれる方も真剣です。 |
まず99年のオート・コート・ド・ニュイ ブランをいただく。
完熟した柑橘類やリンゴやハチミツ、湿って落ちつきのある香りは
十分なエキスの粘りがあり、うーむ、満足。
続いて96年のシャルドネ、これまた柑橘類、ナッツ、樹脂など
熟成した香りになめらかさがあり、やるね、トルシュテは。
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01アリゴテはフルーティ~、柑橘の香りのジューシーで
軽やかでなんてバランスがいいの。
01ブルゴーニュVV、オート・コート・ド・ニュイ、
コート・ド・ニュイ・ヴィラージュどれもフルーツがたっぷりで
これからまとまるところだ。
01の結論としては、ブドウの力が強く、これからまだまだ
熟成を必要とするくらいパワフル。
そして2000のニュイサンジョルジュをいただく。
みなぎる血潮が時間の経過を経て、ようやくなめらかで
ソフトになってきている。
それにしても奥行きがあって、香りも複雑さと深みがある。
いい出来栄えだ。
樹齢は60歳~80歳。
もちろんこれは十二分にVV、ヴィエイユ・ヴィーニュとつける
べき逸品だが、未だつけていない。全く欲がないのだ。
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次は01のニュイ・サン・ジョルジュ。
これまたパワーがある。
厚味、深み、コク、粘り、まだ時間がかかりそうだが、
かなりの大器を思わせる存在感だ。
01年のものはあのマコン金賞受賞のボトル。
このヴィンテージからVVと入れる予定をしているとのことだが、
こうなってくると値段が上がったりするのかしら、
と心配した矢先、
「値段は金賞をもらっても、VVとつけても
いままで通りだから安心してください。」
ひとのいい笑顔でジャン・ピエールさんが教えてくれた。
やはりまったくもって無欲。
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セラー内は10度あるなし、さぶぅ~っ。
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2003年の出来栄えについて語るジャン・ピエールさん。 |
2003年の全てのアイテムをこの後試飲する。
どれもこれもすごく肥えたワインだ。
甘く、丸く、色濃く、酸は大人しいが、完熟したタンニンが
楽しめて、すぐおいしいワインだ。
2003年は特別なワインが楽しめるヴィンテージ。
早くから楽しめ、日本人の口によく合いそうだ。
栽培について質問すると、現在はリュット・レゾネ。
(戦略的減農薬有機栽培/個々に栽培のレシピは違う)
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ニコラ・ジョリィ氏などが提唱しているビオデナミ法
ではないが、薬品など不要なものを使わない自然環境に
優しいブドウ作りをしている。
ビオデナミについては、ブルゴーニュのように、
一人一人の持っている畑の大きさが極端に狭い場所では
BIOなどは無理。
小さな自分の区画をBIOにしたところで、全体区画の
全ての持ち主がBIOにしないことには、なんの効果も出ない。
しかもブドウの木がBIO農法になじむにも相当の時間
がかかるため、あまり意味があるとは思っていない、とのこと。
なるほど。
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最後に93年のとっておきボトルをご馳走になる。
こ、これは、馬、うま、うま、うま~~~~いっ!!
よく熟し複雑で、まろやかで、パン・ド・エピスの香りが
してくるこのワインこそ、もう完璧な状態に入っている。
必要なおいしさと香りのなにもかもが整って、 なんとも贅沢なすばらしいニュイ・サン・ジョルジュ。ああ、この人に一畝でもいいから一級か特級の畑 上げて欲しい。
畑の名前に胡坐をデデンッとかいている、何十とある
あの蔵たちの鼻を明かしてやりたい。
なんて私の思いは200%余計なお世話でした。
トルシュテのワインの一番素晴らしい魅力は
とどのつまり、最高のブドウをひたむきに準備して、
樽すぎない、でも果実一辺倒でもない、誠に精妙精緻な
職人技の極まったところに、独自の奥行きと味わいの楽しみ
を込める。
ここにあるのです。
有名畑をもっていないトルシュテの不運は、皮肉にも
こんな贅沢な味のピノ・ノワールが破格の値段で手に入ってしまう
という極東の小さな島のワイン大好きな国民に
大きな喜びをもたらす結果となったのでした。
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おーっとっ、2003年樽だしです♪
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