エゴン ミュラー
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ワインを飲むと、その中から忘れられない一本というのが出てきます。
そしてまた蔵を訪問すると忘れられない作り手さんとの出会い
というのもでき、その中の最も心に残った
最高の作り手さんとの出会いを紹介したいと思います。
ドイツのザール・ルーヴァーでワインを作っている
ドイツワイン界の重鎮中の重鎮、
エゴン・ミュラーさん。
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当時私はほんの駆け出しで、ワインの知識が多少あるくらいで、
その中身についての経験といって、大変乏しいものでした。
そんな私が、エゴン・ミュラーさんが何者かも知らず、
幸運にも研修でお目にかかる機会に恵まれました。
『世界で最も繊細を極めた鋼鉄のような甘口リースリング』
と、ヒュー・ジョンソン氏も語るドイツワインの最高峰、
シャルツホフベルガーを作っていたのが、エゴンさんでした。
お目にかかった時、既に老齢に入られ、ワインの生産者というより、
大学教授や研究者などの、学識者に分類されてもおかしくない、
威厳と風格がエゴンさんにはありました。
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シャルツホフベルガーとそのワイン作りの講義を受けながら、
大変厳しい姿勢で真剣にワイン作りに献身してきたエゴンさんの
お話に圧倒され、場内は水を打ったようにシーンとなりました。
気難しいことでも有名なエゴンさんにいよいよ質問できる
瞬間がやってきました。
『質問はありませんか?』
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あまりのエゴンさんの迫力に気圧されて誰も質問などできません。
私の経験上、このように熱心に何かを人に教え与えることのできる
優秀な人ほど、質問を受けるのが大好きなのです。
それなのに益々静寂が深まる場内。
『ワインは神様からの贈り物なのでしょうか?』
この大筋の質問からかけ離れた質問が、私の最も知りたい
エゴンさんへのワイン作りの心を問う一問でした。
ドキドキしながら答えを待つ私。
一瞬にして緊張していたエゴンさんの顔が、
突然の突風に見舞われた砂上の楼閣のように笑み崩れました。
『 そうです。そうですとも。そうなんですよ、お嬢さん。 』
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2001 Scharzhofberger Riesling Kabinett Egon Mueller
2001 シャルツホフベルガー リースリング カビネット エゴン ミュラー
ほのかな甘口 白 750ml
商品番号E0EGRCA1
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長時間の講義で疲れていたエゴンさんの表情にぱぁっと生気が
蘇えって、温かで溶けるような微笑みと声は
私の頭を撫でんばかりの優しさに満ちていました。
この時の情景を私は生涯忘れることはないと思います。
世界一のリースリングワインを作る人は、
世界一深い真理と供にワインを世に送る人なのでした。
2001年に永遠の眠りにつかれた故エゴン・ミュラーさんに
哀悼の意を表し、深い敬意と供に心からご冥福の祈りを
捧げたいと思います。
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≪ エゴン・ミュラー家の試飲ワイン目録 ≫
1996年9月6日
1 95 シャルツホフ クォリテーツヴァイン
2 95 シャルツホフベルガー カビネット
3 95 ヴィルティンゲン ブラウネクップ シュペートレーゼ
4 95 シャルツホフベルガー アウスレーゼ
5 95 シャルツホフベルガー アウスレーゼ ゴールドカプセル
6 71 ヴィルティンゲン ブラウネクップ カビネット
7 79 シャルツホフベルガー シュペートレーゼ
8 64 ヴィルティンゲン ブラウネクップ アウスレーゼ
9 59 シャルツホフベルガー アウスレーゼ
10 71 シャルツホフベルガー アウスレーゼ
11 89 ヴィルティンゲン ブラウネクップ アウスレーゼ ゴールドカプセル
12 76 シャルツホフベルガー ベーレンアウスレーゼ
13 85 シャルツホフベルガー アイスヴァイン
14 75 シャルツホフベルガー トロッケンベーレンアウスレーゼ
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