アルテケソのアルバレス氏(42歳)は15年前に父親からチーズ工房と牧場を譲り受けた。
アルバレス氏は22歳のとき国際広島駅伝のスペイン代表で日本を訪問したスポーツマンだ。
「今でも休みの日は、あの地平線に見える赤茶けた丘まで走ってるよ。羊もあの丘まで連れ出すし」といって、空と大地が触れ合う彼方を指差した。どこまでも続くラマンチャの大地と、マンチェーガ種の羊の群れ、それを追う羊飼いの景色は、まさに久保田早紀の「異邦人」の世界だった。
氏のチーズ造りのこだわりは生乳だ。
「僕のチーズは生乳から作るので、直営農場の乳はもちろんのこと、提携農場からの乳も固形分、脂肪分の多いものじゃないと受け付けないよ」とのこと。
これはいいワイン造りにも通じることで、原材料の質によって当然価格が変わってくる。生乳の場合は、衛生度、固形分、乳脂肪の多さによって価格が違うのである。
早速工場を見学させてもらった。
工場は非常に衛生的な印象だ。
「チーズ作りは、生乳にレンネットを入れて…(割愛)。僕が気をつけているのは、プレスなんだ。素チーズを型に入れて7時間かけて水分を抜くのだけれど、途中、型の方向を変えて力が均等に加わり、水分が良く抜けるよう工夫しているんだ。マンチェゴチーズは中が詰まっていたほうがいいんだ。熟成も均等になるしね。こんな簡単なことだけれど、細かいところにいろいろと工夫するようにしているよ」
熟成庫の中には、カビに包まれたチーズが出荷を待って眠っていた。この熟成中には、膨らんで型崩れしているもの(適正ではないチーズ内熟成)ははじかれるとのこと。
「チーズの側面が膨らんでいるものはスーパーでは買わないほうがいいね。食べても適度においしいけれど、僕が目指すものじゃないから」
早速、明日出荷されるクラードチーズ(12ヶ月熟成)を試食させていただいた。生乳から作られているのに、乳の感じはなく、クリーミーでこくがあり、非常に上品な香りである。スペインの古酒に合いそうだった。
アルバレス氏お勧めの召し上がり方:
・スライス後、常温に置き、表面に少し汗(脂)か出てきた頃が食べごろ。
冷蔵庫から出した直後に冷たいままで召し上がらずに、常温に戻してブーケをお楽しみください。
・オリーブオイル漬け
一度に食べきらない場合は、空き瓶やタッパーウエアなどに入れ、チーズが全部かぶるようにオリーブオイルを補充します。チーズが完全に漬かった状態であれば、冷蔵庫に入れずに18度程度の場所で保管できます。日が経つと、赤茶を帯びてきますが、品質には変化はなく、オイル中で熟成の進んだ味になります。
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