- 著者 : 石塚二葉(編)
- 出版社名 : アジア経済研究所
- シリーズ名等 : 情勢分析レポート No.29
- 発売日 : 2017年03月
- ISBN : 9784258300297
- 「第12 回ベトナム共産党全国代表者大会党大会」のおもな内容は、政治報告等の文献草案についての討議と、党幹部人事の決定である。前者については、2011年の第11回党大会では、政治報告、経済・社会発展10カ年戦略の草案について討議が行われたほか、党の長期的指針となる党綱領の改定や、党運営の基本ルールを定める党条例の修正・補充が提案され、採択されたが、第12回党大会で討議されたおもな文献は政治報告、経済・社会報告のふたつのみであった。しかもこれらの報告は、大会に上程された草案から大きな修正もなく採択され、その主要な内容は基本的に第11回党大会文献のそれを踏襲している。このような外面のみからは、前回党大会以来の5年間、ベトナムでは、党の方針に影響を与え、党内の議論を喚起するような大きな出来事は何もなかったかのようにみえるかもしれない。しかしながら、実際には、党を取り巻く状況はダイナミックに変化してきた。経済面では、大規模国有企業の元幹部が汚職の罪で死刑判決を受けるなど、国有企業の乱脈経営の実態の一端が明らかになった。国内社会においては、インターネットやソーシャルメディアの普及、発達にともない、「市民社会」形成の萌芽ともいうべきさまざまな現象が現れている。そして、国際関係では、南シナ海における中国との摩擦がかつてないレベルに達し、その反面としてアメリカとの関係の緊密化が急速に進展した。これらの出来事は党大会文献のなかではあまり直接的には言及されていないが、党大会の結果を読み解くためには、このような文脈をふまえておくことは不可欠である。本書の第1章、第2章は、党大会文献の内容と人事の結果という、文字どおりの党大会の結果を直接の分析の対象としているが、第3章から第5章では、国際経済統合、社会的分化、対外関係というそれぞれのテーマから出発して党大会の意義を検討しているのは、より広い視野からみた、より包括的な党大会の理解を可能にすることを意図したためである。いってみれば、本書は、党大会の直接的な結果の紹介および分析にとどまらず、5年に1度の党大会をひとつの指標として、ベトナムが現在おかれている状況とそのなかでの党の対応、とり組みの主要なポイントを明らかにしようと試みたものである。※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
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