- 著者 : 日置貴之(著)
- 出版社名 : 笠間書院
- 発行日 : 2016年02月
- ISBN : 9784305707987
- 「江戸の芝居」を見ることができないとすれば、いま私たちが見ているものは何か。
現代に生きる私たちが歌舞伎を見る空間とは明治以降に形作られたそれ以外にはあり得ず、そこで演じられる芝居も、そうした空間で近代に形作られてきたものでしかあり得ない。では「明治の芝居」とは何なのか。
本書は日本の歴史上屈指の激動の時代の、幕末・明治期の歌舞伎の全貌を、あらためて捉えなおすべく編まれた。当時「正統」派が読みなおしていた古典作品の様相や、「正統」派だけでなく、「傍流」とされてきた上方劇壇、今日では忘れられた存在となっている戦争劇や災害劇にも目を向け、今日の私たちが見ている歌舞伎との新たなつながりを見い出す。
【……だが、「明治の芝居」にしても、そうした、「江戸時代の芝居」の次に現れて、今日の歌舞伎につながるもの、というような図式でのみ捉えられるものではないのではないか。団十郎、菊五郎が今日の歌舞伎の基礎を築いたことも、彼らの存在が従来の演劇史の中で大きな位置を占めていることもわかるが、では、彼らの演じた芝居は同時代の他の人々のそれと何が違ったのか。あるいは、彼らの演じた芝居でも、今日まで残らなかったものは無数にあるわけで、そういった作品はどういったものであったのか、また、なぜ残らなかったのか。明治期の東京以外の地域、たとえば大阪や京都、あるいはそういった大都市の役者が旅芝居で回ったような地方では、どういった芝居が演じられていたのか。こういった疑問について見ていくと、明治期の歌舞伎が、日本の歴史上屈指の激動の時代にふさわしい、多様な姿を持ったものであることがわかってくる。と同時に、そうした多様性の中から、ある方向への「統一」の機運も現れてくる(それこそが私たちが漠然と思い描く、今日の芝居の礎となった「明治の芝居」である、といえるかもしれない)。本書では、そうした変わりゆく時代のなかの歌舞伎の姿を描き出していきたい。】……はじめにより※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
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