- 著者 : 児玉征志(著)
- 出版社名 : 新評論
- シリーズ名等 : シリーズ近江文庫
- 発行日 : 2012年06月
- ISBN : 9784794809056
- 本書は、2011年3月に第3回「たねや近江文庫ふるさと賞」の最優秀賞に入賞したエッセー作品を書籍化したものである。
勤めている会社の異動で、2008年8月から2010年3月までの1年8カ月にわたり、大津に単身赴任した。その経験に基づいて、当時見聞きしたり感じたことをまとめて懸賞に応募したところ、何とラッキーにも入賞してしまった。
実は、大津に転勤してからうつ状態に陥ってしまい、立ち直るまでに一年以上かかった。エッセーでは、私の精神状態の時間的経過を横軸にして、「びわ湖検定」の深い知識に学びながら、滋賀県の自然、経済、歴史、文化に触れている。
「びわ湖検定」は、最近増えてきている「ご当地検定」の滋賀県版である。なんとなく読み始めた公式問題解説集が意外と面白くて、その情報をたよりにあちこちへ出かけるようになった。渡岸寺の十一面観音(国宝)、角大師(元三大師)の厨子がある西教寺、近江聖人の中江藤樹を祀った藤樹神社などなど、滋賀県内には面白いところがたくさんある。滋賀にまつわるいろいろな知識を習得することによって脳が活性化し、精神的な面でも回復に繋がったのではないかと思う。いわば、「びわ湖検定」に救われたのだ。
また、仕事柄、中小企業の経営者の方々に会う機会が多かったことも幸いだった。一国一城の主だけあって、皆さん迫力のある方ばかりであり、一生懸命に人生を生きておられる。そんな方々とお会いして話をするたび、見習わなくてはいけないと思っているうちに、いつのまにか不思議なくらい元気になっていた。
最近、万城目学氏の『偉大なる、しゅららぼん』(集英社、2011年)を読んでみた。主人公は琵琶湖から授かった神秘的な力で問題を解決する。私が立ち直ることができたのも、琵琶湖から活力をもらったおかげかも知れない。今回のエッセーの書籍化を含めて、滋賀県での出会いのすべてが運命的なものに思える。
仕事の都合で大津で暮らしたおかげで滋賀県を知ることができて、本当に幸運だったと今は思っている。このエッセーは、私にとっていわば「琵琶湖大学」の卒業論文のようなものである。単身赴任中の方々、これから単身赴任をされる方々にとって、私の拙い経験談が多少でも参考になれば望外の喜びである。(こだま・せいじ)※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
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