- 著者 : 駄田井正(編著) 藤田八暉(編著)
- 出版社名 : 新評論
- シリーズ名等 : 久留米大学経済叢書 第18巻
- 発行日 : 2014年03月
- ISBN : 9784794809650
- 国民一人ひとりが生活の中で幸せを実感でき、そのような状態を将来世代にも継承することができる持続可能な社会は、環境と経済、環境と社会が両立されることで実現される。そして文化は、それらの関係を取り持つものである。
本書では、まず第1部でこのテーマをそれぞれ総論的、各論的、または事例的に論述した五篇の論文を収録している。これらは、久留米大学経済学部文化経済学科の創立10周年を記念して開催された公開講座の内容をもとにしてまとめられたもので、専門家だけでなく一般読者をも意識している。
本書の第2部は、同じく創立10周年を記念して開催された二つのシンポジウムをまとめたものである。シンポジウム「筑後川流域の陶芸文化と小鹿田皿山」は、筑後川流域に形成された陶芸文化の現状と将来について、映像作家・故中村孝一氏が残した映像資料を参照しながら、文化経済学の視点から話し合ったものである。筑後川流域は、中国大陸と朝鮮半島に隣接する地理的環境を背景に、小石原(福岡県)、小鹿田(大分県)、一の瀬(福岡県)、白石(佐賀県)等の焼物生産地を形成し、特色ある窯業生産地として長い歴史をもつ。
二つ目のシンポジウム「これからの都市デザイン―コンパクトシティの実現をめざして」では、都市のコンパクト化を独自の方法で実践しておられる森雅志富山市長に特別講演をいただいた。続くパネルディスカッションでは、モータリゼーションとスプロール化によって活気を失ってきた都市を、コンパクト化によっていかに再生させるかが話し合われた。コンパクトシティの実現は、少子高齢化、人口減少、環境問題などの面だけでなく、学術・文化など人々の創造的活動の場の活性化という面でも非常に重要な課題である。
本書を通じて、環境・経済・文化が統合されたまちづくりをめぐる対話の輪を広げられればと願う。(だたい・ただし)※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
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