- 著者 : 大沼由布(編) 徳永聡子(編)
- 出版社名 : 知泉書館
- 発売日 : 2022年12月
- ISBN : 9784862853776
- 遥か『オデュッセイア』の時代から,旅すること,移動することは文学に不可欠な要素であった。移動が盛んであった中世ヨーロッパ社会でも,旅の記録は巡礼記や旅行記,愛や冒険を描く中世ロマンス,聖人伝,年代記,百科事典など様々なジャンルの作品に記された。
今ここに,中世英文学の気鋭の研究者が集い,イングランドにおける多様なナラティヴ(語り)を繙いて,言語の併用,文化交流,思想の流動,写本の伝播も含めた広義の移動という視覚から中世社会に光を当てる。
第I部「聖なるものと旅のナラティヴ」では,旅行記や聖人伝など物理的な移動に関係する記述や写本の挿絵などの分析を通し,移動にどのような思想や事情が伴い,何をもたらすのかを浮き彫りにする。
第II部「越境とアイデンティティ」は,ラテン語から英語やフランス語など俗語が使用される多言語社会の中で,移動がアイデンティティや文化の形成といかに結びつき,影響したのかを明らかにする。
第III部「異端と正統の境界」は,歴史文書やキリスト教神学書,宗教書の緻密な解析を通して,中世人の精神的な移動の有りようを描く。
第IV部「マテリアリティからみる移動」は写本や初期刊本を取り上げ,書物の伝播や受容の問題を論じる。
本書は個々のテーマを分断せず,各章が有機的に結びついて,ナショナリティの形成や異文化交流など,現代の課題にも豊かな示唆を与える独創的で良質な共同論集。※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
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