- 著者 : ライダール・マリクス(著) 加藤泰史(監修)
- 出版社名 : 知泉書館
- シリーズ名等 : 知泉学術叢書 30
- 発売日 : 2024年03月
- ISBN : 9784862854056
- カントの政治哲学に関わる論争的な言説を追究することにより,18世紀ドイツにおける公共圏の形成についてカント哲学の貢献を検討する。論争は,自由の権利の正当化,平等の扱い,そして国家の権威,という三つを主要課題とした。これらに関わる彼の法哲学と政治哲学の解明を通して近代哲学創始の瞬間をも明らかにする。
マリクスはノルウェー科学技術大学で哲学修士を取得,その後ハイデルベルク大学留学を経て,アメリカのコロンビア大学政治学部に博士論文を出し博士号を取得。政治学と哲学にわたる独自な研究活動を展開してきた。
ポーコック以来,国際的な共和主義研究が盛んになったがドイツへの関心は低かった。著者はドイツにおける共和主義の形成についてカントを中心にその展開を明らかにした。カントの政治哲学の分析だけでなく輻輳する論点を理論的に解明し,共和主義の歴史的文脈を描くことによって,現代の政治哲学への射程を示す。
著者はハーバード大学で講師を務め,オックスフォード大学研究員をへて母国オスロ大学教授として哲学を講じている。彼の活動は英米圏中心だが,ドイツ語文献を幅広く活用し,今後はドイツ語圏での研究が期待される。
わが国ではカントの政治哲学に関して未だ関心が低い。カントが倫理と法の伝統に深く関心をもち,フランス革命を目の当たりにし,左翼と右翼の両陣営からの論争に対応しつつ,独自の思考を展開する姿は,従来とは違う新たなカント像を髣髴とさせる。カントに対する固定観念を払い新たな探求のための必読書となろう。※本データはこの商品が発売された時点の情報です。
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